Bunker Adjustment Factor(BAF):荷主が知っておきたい基礎知識
YQNオペレーションチーム
海上輸送の見積もりは、基本運賃が同じでも、合計金額が異なる場合があります。その理由の一つが、船舶燃料費の変動を反映する燃料費調整係数「Bunker Adjustment Factor(BAF)」に基づくサーチャージです。船会社によって、独立した項目として記載される場合もあれば、別の名称の燃料サーチャージとして請求される場合もあります。
ブッキング前には、燃料サーチャージが見積もりに含まれているか、提示された運賃がいつまで有効かを確認しましょう。本ガイドでは、BAFの仕組み、船会社によって異なる理由、輸送費を比較する際の確認事項を解説します。
BAFの基本情報
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| BAFとは? | 船舶燃料費の変動を海上輸送費に反映するための調整額 |
| なぜ変動する? | 船舶燃料価格や航路ごとのコストが変わるため |
| すべての船会社で同じ? | いいえ。計算方法、名称、金額が異なります |
| どのように設定される? | 通常、航路、コンテナサイズ、コンテナの種類に応じて設定されます |
| どのくらいの頻度で見直される? | 四半期ごとが一般的ですが、船会社の規定によって異なります |
BAFはどのように計算される?
BAFには、業界共通の計算式はありません。各船会社が独自の計算方法を定めています。
一般的には、燃料価格、航路ごとの燃料消費量、航海距離、コンテナの種類などを考慮します。航路の往航・復航間における貨物量の不均衡が考慮される場合もあります。
例えば、Maerskが公表していたBAFの計算方法では、燃料価格に航路係数(trade factor)を掛けて算出していました。この係数には、実入りコンテナ1本当たりの燃料消費量や、対象航路における往復の貨物量の不均衡が反映されています。
2026年、Maerskは契約期間が3か月を超える新規契約に、Fossil Fuel Fee(FFF)を適用しています。同社によると、FFFはBAFとLow Sulphur Surcharge(低硫黄燃料サーチャージ)に代わるものです。
2026年第4四半期の算定に用いるMaerskの平均参照燃料価格は、VLSFO(超低硫黄燃料油)が1トン当たり752.19米ドル、LSMGO(低硫黄マリンガスオイル)が1トン当たり1,157.90米ドルで、新料金は10月1日から適用されます。
BAF、OBS、MFR、BRCの違いは?
すべての船会社の見積もりに「Bunker Adjustment Factor」という名称が使われているわけではありません。
| 船会社 | 現在の燃料関連料金の名称 |
|---|---|
| Maersk | Fossil Fuel Fee(FFF) |
| ONE | ONE Bunker Surcharge(OBS) |
| Hapag-Lloyd | Marine Fuel Recovery(MFR) |
| MSC | Bunker Recovery Charge(BRC) |
| CMA CGM | 一部サービスでBAFを使用 |
これらは同一の料金制度ではありません。適用範囲や計算方法は、船会社ごとに異なります。
ただし、船舶燃料費を輸送費に反映するという点では、共通の目的を持っています。
例えば、CMA CGMは一部のサービスで引き続きBAFという名称を使用しています。同社は8月14日付の通知で、チュニジア向けRoRoサービスのBAFを2026年9月1日から改定すると発表しました。
燃料サーチャージの最新動向
主要船会社の数社が、2026年9月および10月に適用する燃料関連料金の変更を発表しています。
| 船会社 | 変更内容 | 適用開始日 |
|---|---|---|
| ONE | OBS料金の改定 | 2026年10月1日 |
| Hapag-Lloyd | MFRの改定 | 2026年10月1日 |
| MSC | 米州向け新運賃にBRCを含めて設定 | 2026年10月1日 |
| CMA CGM | 一部サービスのBAF改定 | 2026年9月1日 |
ONEは8月31日、改定後のOBSを2026年10月1日から12月31日まで適用すると発表しました。同社によると、料金は四半期ごとに見直されます。
Hapag-Lloydの新たなMFRも、10月1日以降に出航する便から適用されます。同社によると、MFRは全航路を対象とし、請求書および船荷証券(B/L)に個別に記載されます。
Hapag-Lloydは、一部の航路で喜望峰経由への変更に伴う航海距離の変化も考慮しています。このことからも、燃料関連料金は燃料価格だけで決まるものではないことが分かります。
MSCが8月31日に発表した北欧およびスカンジナビア・バルト海地域から米国、カナダ、メキシコ向けの運賃では、10月1日からのBRCが20フィートドライコンテナ1本当たり424米ドル、40フィートドライまたはハイキューブコンテナ1本当たり848米ドルとされています。
ラテンアメリカ向け輸送にBAFはどう影響する?
燃料関連料金の影響は、長距離航路でより顕著になります。
2026年第4四半期のMaerskのFFFは、極東アジアから南米西岸・中米向けの場合、20フィートドライコンテナ1本当たり467米ドル、40フィートドライまたはハイキューブコンテナ1本当たり933米ドルです。
同じ航路でも、リーファーコンテナでは燃料関連料金が高くなり、20フィートリーファーコンテナ1本当たり702米ドル、40フィートリーファーコンテナ1本当たり1,404米ドルとなります。
このため、基本海上運賃が近い見積もりであっても、輸送費の合計は異なる場合があります。
ブッキング前に確認すべきこと
基本海上運賃だけで比較しないことが重要です。
適用される燃料調整額が含まれているか、いつまで有効かを確認しましょう。また、該当する場合は、PSS(繁忙期割増料金)、ターミナル取扱料金、運河関連料金、低水位サーチャージ、その他の発地・着地費用も確認する必要があります。
長期契約の場合は、燃料調整額がどのくらいの頻度で見直されるかを確認しましょう。
スポット輸送の場合は、予定している出航便に適用されるBAF、OBS、MFR、BRC、FFFの金額を確認してください。
輸送費を適切に比較するには、航路、コンテナの種類、出航時期の条件をそろえたうえで、総額を確認することが重要です。
見積もりを受け取った後にBAFが変わることはある?
はい。見積もりの条件や有効期間によっては、変更される場合があります。
燃料サーチャージには通常、適用開始日や改定の仕組みが定められています。出航日が見積もりの有効期間外となる場合、新たな燃料サーチャージが適用される可能性があります。ブッキング前に、必ず最新の料金を確認しましょう。
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